yutatanaka.tokyo logo

yutatanaka.tokyo

Published on

LIXILのプロキシーファイトを見て「部長島耕作」を思い出した

Authors

LIXIL株主総会、瀬戸氏陣営が勝利=過半数確保、トップ復帰へ

プロキシーファイト

、燃える展開ですね。 最近だと

大塚家具

が有名かな。

課長島耕作の連載が1992年に終わって数年間、 週刊モーニングでの連載を再開するまで、たまに読み切りを連載していた。 その中の、1つの話にプロキシーファイトを題材とした物があった。

島耕作が会社を「守る」側になる…!

曙製作所という会社が静岡にある。東証二部に上場し、社長の杉田六朗は 「課長島耕作」の最後で、一流電機メーカー「初芝電気産業」の社長になった 中沢喜一の同期、叩き上げの営業マン、中小企業の婿養子、という設定だ。

知らず知らずのうちに、仕手筋(ファンド?)に抑えられ、乗っ取られようとしていた 会社を、中沢の懐刀として、総合宣伝部の部長となっている島耕作が 資本政策においてサポートする…という設定であったように思う。

いくらなんでも、これだけの巨大産業で、一宣伝部門の長にすぎない

島耕作がなぜ会社の金を特定部門の役員の許可も無く、社長の一存のみで使えるのか、

無茶苦茶ではないか、

、というツッコミはお約束なので不要であろう。

手に汗握る資本の攻防!

さて、プロキシーファイトに戻る。

大株主を電話で説得し、株を譲ってもらうのだが、このような状況になったからには 時価に対しプレミアムを付けた形で譲渡を依頼するしかない。 泣きっ面に蜂の会社側に対し、高額をふっかける人間も大勢いる。

会社とカネを通じて人間模様を

描くのが天才的にうまい弘兼憲史の本領発揮と感じる。

その中で、社長の杉田が激務により長い間家に帰れず、娘とも会えない、、とか 「昔私は安保闘争の勇士でこのくらいの泊まり込みやったものだ…」といったような、 泣かせる話も差し込んでくる。

このあたり

まさにドラマか映画か

、といった風情である。

最終的に、対決の舞台は株主総会となる。その直前まで、社員は株の保有数を細かな単位で 計算し、積み上げていく。その結果、ほんのわずかな差で勝利が確定する。 社員は手放しの喜びようである。

ひゃほー!

と。

ファンド側は捨て台詞を吐いて復讐を誓いつつ帰っていく、、という まさに

小悪役の典型のような退場の仕方

をする。

そして、最後に中沢喜一が登場する。同期の杉田のプライドを傷つけないように 影から支えたかった、という旨を島耕作に説明する。

まさに

男の友情、武士の情け

、そんな言葉が当てはまるような名シーンが、穏やかな正月の 大井川の凧揚げの情景を背後に展開される。

男の仕事と生き様

資本主義の一場面としては実に類型的であり、スリルに富んだ話であったように思う。

この話を僕が初めて読んだのは大学生だが、男の仕事というのは人生そのもので とても面白いものなんだなと思った。まだ、下げたくない頭を下げるとかそういう 苦労のところを深くは理解していなかったけれど、「仕事」を学んだ一話だったように 思う。

「部長島耕作」の1巻

に収録。おすすめ。

画像引用元:

講談社コミックプラス様